第24回
中高年パワー
私の母はある芸人のライブCDを知人からプレゼントしてもらい、それを聞いていつも大笑いして喜んでいます。
中高年のおばさんたちをネタにし、テンポよく毒舌と皮肉を語るのですが、何故かその言葉には大きな愛と温かさが満ちていて、皆を笑いの渦に巻き込んでいくのです。
若者の間では現在お笑いブームのようですが、中高年からも笑いを引き出し、生きる力を呼び起こしてくれる存在となっているようです。
身近な母をはじめ、私の周りには元気いっぱいの中高年がたくさんいます。
教室にも若い人には負けず劣らずバリバリとレッスンを受け、颯爽と踊っている年配生徒さんがいて、そのたくましさには感心させられます。
そして、何よりレッスン以外での世間話に耳を傾けると色々なことを知ることができる楽しさと喜びがあります。
ある中高年の生徒さんばかりのクラスに教えに行くと、お年寄りの介護の話や、健康維持の秘訣、庭の草花の手入れ方法、家庭菜園の話、旅行の話など、私と同年代の人からなかなか聞くことのできない話題でいっぱいになります。
楽しい話ばかりではなく、シビアな話もありますが、それでも暗く落ち込む様子もなく淡々と話し、皆が共感しあったり励ましあったりする様子にはたのもしさを感じます。
うれしいことに家庭菜園で作った無農薬の野菜をいただくこともあります。
何と言っても人生経験豊富で、すでに様々な境遇に出会いそれらを乗り越えてきた自信と打たれ強さがあり、これからの人生は何が起きても動じることなく、楽しく心豊かに過ごしたいと思えるのでしょう。
新潟の古町にある背の高いビルの一階にあるロビーは、中高年の女性たちの待ち合わせ場所として、平日の正午前にはおばさんでいっぱいになると母から聞いたことがあります。
それが母達の間では『ランチ族』といわれる人達で、正午を過ぎると皆目的地に向かいすっかりその場からいなくなるそうです。
そして、デザート、コーヒーおかわり付きの多少長居をしても平気な場所で、ゆっくりとランチをしながらおしゃべりをするのです。
皆、趣味や旅行に費やす時間の余裕を持ち、それぞれ話題も豊富で、話しが尽きないのでしょう。
そして、慌てて旦那さんの夕飯の支度に間に合うように帰宅するのだそうです。
なんとも羨ましい話しですが、この世代の方々は子ども時代には今のような豊かさを味わえず、高度経済成長の時期に家族の為に一生懸命働き、ようやく今になり自分たちのやりたかった趣味や娯楽を満喫できる時が来たのでしょう。
そうやって色々な経験を乗り越え、今楽しそうに笑っていられることが中高年パワーの源となっているのでしょう。
私の母を含む、周りにいるパワフルな中高年達にあやかり心豊かな人生を送れるよう、今は世の為人の為に頑張って働こうと思う今日この頃です。