第19回

ピラティス




 数年前くらいから、私の周りで次から次へと『ぎっくり腰』になる人が出てきた時がありました。

そして、腰痛を訴える人がとても多いことに気付きました。
人間は二本足で歩き、全身の体重を支えている為、長年それを支えている身体の中心である腰に負担がかかるのは無理もありません。

長年の生活習慣による、偏った姿勢や歩き方によりいつの間にか体が歪んでしまうのも原因でしょう。

女性は出産などで、骨盤が開き歪みやすくなり、産後に腰を痛める人も多いようです。

私自身、腰痛とは全く縁がなかったのですが、あまりにも周りに腰を痛めている人が多く、もしそうなったら私の場合、踊れなくなる、つまり仕事ができなくなる、それは致命傷です。

そうなってからでは遅い、いつまでも自分の身体を過信しているわけにもいかない、と、一念発起したのです。

それが今から3年前、『ピラティス』を初めたきっかけです。
ピラティスとは深い呼吸にあわせて骨盤・背骨・体幹を調整し、身体のコアの筋肉を強化していくエクササイズのことを言います。

1990年初め頃、ドイツ人のジョセフ・ピラティスという人が戦争で負傷した兵士たちへのリハビリ用として考案したのだそうです。

その後アメリカなどでダンサーの技術向上やプロポーション維持のために活用されるようになり徐々に広まりました。

エアロビクスやウエイトトレーニングなどハードなものではなく、正しい呼吸法や姿勢を身につけ、誰でもできるエクササイズです。

雑誌などで、ハリウッド女優やバレリーナやスポーツ選手が、身体づくりの為に『ピラティス』をしているのをチラホラ見かけ、興味はあったのですが、その頃はまだ教えているところを探すのにひと苦労でした。

私の場合、身体の故障を防ぐためが第一ですが、踊っているうちについた身体の癖や歪みを直して、なおかつ身体のラインも整えられたら、という希望もあり、リフォーマーというピラティス専用の台に乗って行う本格的な個人レッスンを受けはじめました。

よくよく考えてみたら、フラメンコ以外のことで人から何かを教わるということは20数年ぶりくらいのことで、とても新鮮でした。

そして、教わる側の立場になると色々と気づくことがあり、教えることへの勉強にもなる有意義な時間でした。

その上、自分の身体の弱い部分や、身体の軸への意識が高まり、今現在も全くけがも故障もなく、健康な身体を維持することができています。

私のフラメンコの師匠は、長年メタボ体型でハードに踊っていた為、腰痛を患い、いよいよ手術をしなくては治らない状況でした。

そんな腰にコルセットを巻き、だましながらレッスンを続け、ある時アメリカへ振付の仕事に行った時、ぎっくり腰になり、歩けなくなるくらいの激痛におそわれたそうです。

その時アメリカでピラティスをすすめられ、個人レッスンを受けたら腰痛が改善され、スペインに帰ってから手術の日程が決まっていたのをキャンセルしたそうです。

今では日本でもピラティスの認知度が高まり、新潟にも教室が増えているのが論より証拠です。

 1 フラメンコとの出会い
 2 恩師との出会い
 3 目標に向かって
 4 憧れの地、スペインへ
 5 彩り豊かなセビリア
 6 マイペースなスペイン時間
 7 バルセロナの建築家ガウディ
 8 グラナダの想い出
 9 国境なき友情
10 スペインから見た日本
11 命名
12 夫婦別姓
13 年の瀬に思うこと
14 大器晩成
15 アラフォー世代
16 アンチエイジング
17 食の大切さ
18 親離れ子離れ
19 ピラティス
20 旧知の仲間たち
21 出し惜しみしない
22 スペインの春祭り
23 終わりなきフラメンコ
24 中高年パワー
25 生涯現役


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NHK 朝の随想
  NHKラジオ新潟第一放送 『朝の随想』に小島正子が出演しました。
 平成20年9月30日〜平成21年3月24日までの毎週火曜日、朝7時40分
 から半年間出演、全25回分の原稿を掲載します。









































































                   
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