第7回
バルセロナの建築家ガウディ
スペインへ行ったら是非行っていただきたい都市にバルセロナがあります。
バルセロナはスペイン北東部に位置し、同じスペインでも南のアンダルシア地方とは違った特色を持つカタルーニャ地方にあります。
首都マドリッドに次ぐ二番目の都市で1992年のバルセロナオリンピック開催を機にすっかり近代化が進みました。
とはいえ、このバルセロナには歴史に残る素晴らしい芸術作品があります。
その中で特に有名なのはスペインが生んだ偉大なる建築家アントニオ・ガウディの建築物の数々です。
その一つサグラダファミリア教会は、ガウディの生涯をかけた代表作品であります。
73歳でこの世を去る直前まで製作にあたっていたものの生存中に完成はできませんでした。
その後、ガウディ亡き後も製作が続けられていますが、着工から長い年月が経っている為、建築と並行して修復も行われ、完成まであと200年以上かかるとも言われています。
未完成とはいえ、現段階でも充分素晴らしい建築物であり、歴史に残る作品としてバルセロナの街に堂々とそびえ立っています。
ガウディは他に、グエル公園、カサ・ミラ、カサ・パトリョなども設計し、それら全てが個性的で見事な芸術作品として残されています。
ガウディの作品は写真やテレビなどで目にしたことはありましたが、実際に生で見た時は、あまりの迫力に圧倒され、感動のあまりしばらくその場に立ちすくんでしまいました。
全てが想像を超えた作品ばかりで、言葉で表現するのは非常に難しいです。 それこそ「百聞は一見にしかず」です。
どう考えても、費用や工期など全く気にせずに作られたのでしょうし、それだからこそ自分の思うままに極限まで表現し続けられたのでしょう。
そして、ガウディの作品は今も多くの芸術家たちに影響を与えています。
しかし、彼のように何も得ようとせずただひたすら自分の表現したいものを追及し続けることができるかどうか・・・
現在の建築家の誰しもが羨ましく思うでしょうが、それを成し得ることは難しいでしょう。
私も芸事にたずさわる端くれの一人ですが、それは幸福でもあり苦しみでもあるような気がします。
ガウディの晩年は創作活動に没頭し、身なりにも気遣わずにいたため、路面電車にひかれて亡くなった時は偉大なる芸術家と気づかれなかったのだそうです。
その後、彼の亡骸は彼の全てを注いだサグラダファミリア教会に埋葬されました。
世界中から集まってくる観光客たちが自分の作品に感動する姿を彼はどう感じているのでしょうか?
果たして彼はこのサグラダファミリアの完成を望んでいたのでしょうか?
一生かけても完成できないことをわかっていながら、というより完成させるつもりがなかったのかもしれませんね。
それでも、自分の感性と知識と技の全てを注ぎ込んでいたとなれば、これぞ『真の芸術家』の本望だったのでしょう。