第13回
年の瀬に思うこと
今年もあと残すところわずかとなりました。
皆さんの一年はいかがでしたでしょうか?
年を追うごとに一年が早く感じるようになるのは、誰しもが同じようですが、本当に今年もあっという間でした。
子どもの頃は、年末が近づくと心がワクワクしていたのに、大人になるとただ慌しいだけになってしまい、寂しい気がします。
特に、クリスマスはサンタクロースを信じていた子どもの頃は本当に楽しみでした。
両親がいつまでも子ども扱いしていたかったようで、お恥ずかしいことに私は小学校3年生くらいまでサンタクロースの存在を信じていました。
周りにサンタなんかいないよ、と言われても信じ続け、25日の朝、枕元に望んでいたプレゼントが置かれているとうれしくてたまりませんでした。
ところが、ある年、そのプレゼントにメッセージカードが付いていたことがあり、そのカードは前の日、家のどこかで見かけたカードと同じものだったのです。
書いてある字も見覚えのある父の字に良く似ていて、もう誤魔化しのきかない年になっていた私はピンときてしまいました。
薄々感じていたものの、確信を得た時はやはり淋しい気持ちになりました。
そして何より、サンタクロースが本当はいないというショックより、サンタクロースを信じなくなった娘を見る父が寂しそうだったことがとても悲しかったのを思い出します。
私も親となり、子どもたちのサンタクロースになり続けた時期がありました。
事前に子どもたちの欲しい物を調査し、こっそりと準備するのですが、彼らの要求は年々エスカレートし、どこへ行っても完売の人気商品を24日の晩までに入手するのに四苦八苦したこともありました。
よくよく考えると馬鹿馬鹿しいことなのかもしれないのですが、子どもたちがクリスマスに向けてワクワクしている姿を見て、自分の子どもの頃を思い出し、親のほうもワクワクしてしまうのです。
子どもが喜ぶ姿を見るのが、親にとってはクリスマスの醍醐味となり、幸せな気持ちになっていたのです。
今では息子たちも成長し、我が家にもサンタクロースは来なくなりました。
もう、年の瀬の忙しい最中にプレゼント探しに奔走する必要もなくなりました。
12月にもなると街中がクリスマス一色になり、そんな時、サンタクロースを待ちわびていた頃やサンタクロースに成りすましていた頃を懐かしく感じ、恋しくもなります。
大人になると、現実ばかりが押し寄せて来て夢をみることがなくなってきたような気がします。
そういえば、父は年末になるとその年の『我が家のニュースベスト10』を書き出して、その一年を振り返っていました。
そうやって来年はどういう年にしたいとかを話題にし、目標や夢を描いたりしたのです。
年の瀬を迎え慌しくなってきましたが、こうやって改めてこの一年を振り返り、新しい年への希望を託すのもいいかもしれませんね。
もちろん、私の今年のニュースベスト10に、この『朝の随想出演』はランクインすることでしょう。
来年は、どんな一年が待ち受けているのでしょうか…良い年でありますように…。
そして、皆さんも良い年をお迎えください。